2009年3月15日日曜日

若者殺しの時代

世代論大好きなので興味深く読んだ。
刺激的なタイトルがついているが、基本的には80年代論。
経済成長の終わり頃、貧しさがだんだんと消えていった時代だった。
その間、カルチャーがマーケティング戦略に取り込まれ、
あるいはマーケティング戦略がカルチャーになっていた時代的な経緯が、
同時代人の視点で描かれている。文章もフランクで読みやすい。
90年代とゼロ年代についてはほとんど触れられていないに等しく、
その点では不満が残ったが。

ロスジェネど真ん中の自分にとって、80年代は遠い。
小学生だったのだ。TVのブラウン管ごしに、ばか騒ぎを眺めて、
何がなんだかよくわからなかった。ただ、そのうち自分もそちら側に
行くのかな、と漠然と思っていた。そんな時は来なかったが(笑)。

今の上司の世代がちょうど80年代を謳歌した世代で、よく飲み会で
その頃の話を聞くけど、とても面白い。部屋中を黒い家具や
黒いシーツで飾ってTVは置かない生活をしていて、住みづらくって
苦しくって仕方ないけど、そういうスタイルだけは譲れなかった、とか、
みんなで借金をして買ったフェラーリとポルシェに分乗して
平塚の方に置いていたクルーザーに乗りにいった、とか。
まったく意味がわからない。

本書にも、「歯を食いしばって消費していた」という表現が出てきて
その世代としてはそういう実感なんだな、と興味深かった。

それだけ「今日よりも豊かな明日」を信じることができる時代だったんだろう。
今からしたら信じられないけど。

若者殺しの時代 (講談社現代新書)
堀井 憲一郎
講談社
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